匁の閑話

1匁は五円玉1枚の重さ。ささやかな私のささやかな呟き。

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Author:匁
2015年、札幌市から埼玉へ移住。

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「山中伸弥先生に人生とiPS細胞について聞いてみた」

人気子役・芦田愛菜ちゃん一押しの一冊。
山中先生が周囲の助けも得て、iPS細胞を作り出すまでの紆余曲折の記。
先生の座右の銘は「人間万時塞翁が馬」。
「じんかんばんじさいおうがうま」とも読むことを、愛菜ちゃんにより知った。
人間(じんかん)は、にんげんの意味ではなく、世間の意味だそうな。

私は、学生時代に化学式を見ただけで頭がくらくらする程の非理系人間。
文系の私に解るかな?不安。
とは言え、9歳の愛菜ちゃんが読んだなら私に読めない筈がないだろう。
処が、肝心の研究部分となると、文字が頭を通り過ぎて抜けて行く。
結局、2回読んでやっと理解できた。
愛菜ちゃん、恐るべし。

①ES細胞  ヒトの受精卵をバラバラにし培養して作るため、倫理的問題点が残る。
②iPS細胞  体細胞(皮膚・毛髪など)を培養し、4つの遺伝子を加える事で作り出す。
      安価で簡便。しかし、その手軽さ故に本来の目的である難病治療や創薬以外に
      悪用される可能性が否定できない。
      例えば、特定のヒトのDNAが欲しければ毛髪1本で盗み取ることも可能だろう。
      山中先生いわく「僕は研究者なので、1人でも多く難病の患者さんを救うために
      一生懸命研究している。が、同時に医療に携わる者たちのモラルが大切だ」

2つは双子の様に酷似しているが、
実用化は、手軽さ・経費面・倫理面で、iPS細胞の方が断然に優位。


2つの細胞に共通する弱点は、
基本細胞が患者本人のもの以外だと免疫拒絶反応がおこる恐れがある点。
必要になってから細胞採取して培養を始めたのでは、治療に間に合わない。
だからと言って、事前に一人ひとりのiPS細胞を作って準備しておく事は不可能。
処が、なんとこれにも解決策がある。

iPS細胞ストック(HLA型ホモ) 
ヒトは、両親からそれぞれ1つづつの別のHLA型を受け継いで生まれる。
しかし、中には両親から同じ型を受け継いだヒトがいる。
このヒトの体細胞から作ったiPS細胞は、他人の体に貼り付けても免疫拒絶反応が起きないのだと。
しかも、HLA型ホモのヒト140人で90%の日本人をカバー出来るのだ。
効率よくHLA型ホモのヒトを見つけ出す方法は、出産の時の臍帯血。
臍帯血は、白血病など血液の治療に使えると言う。
そういえば、娘を出産した病院の壁に「臍帯血を協力ください」とのポスターが貼られていた。
まさか、この私がそんな希少キャリアとも思えないが。

「医学は、日進月歩の時代は終わり秒針で進んでいる。
不幸にも癌になってしまったら、1日も長く生きなさい。
昨日には無かった治療法が、明日には見つかるかもしれないから」
と、かつて有名な癌医が言った。
当時、すい臓がんを発症した友人は、時を待つ事が出来ず逝ってしまった。

iPS細胞は体細胞の主が何歳であっても、初期化した細胞が出来る。
つまり、生まれたてのゼロ歳ベビーの細胞を作り出すのだ。
夢の様な話が、今や現実となった。
近未来、病気では死なない時代が来るのだろうか。
だとすれば、それはどんな人間(じんかん=世間・世の中)になるのだろう。

日頃、自分がたった1個の細胞からこの世へ生まれ出た事を思う事はない。
この本を読んでいると、いっとき、 自分という一つの生命体が俯瞰して見える。

山中先生、素晴らしい研究を有難う。

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